【SD設計と寸法】スタジオでの「1m」とは

はじめに

 山の民と申します。本記事は、私がキャラスタジオでアイテムを作る際の基本的な考え方についての記事です。今回はごく簡単な鉄道車両を作る「計画」を立てながら、精密なアイテムを作るための基礎となる「寸法」について説明します。

 なお、この記事の本文は敬体(です・ます調)ではなく常体(だ・である調)で記述させていただきます。最初は敬体で書こうとしたのですがどうもなじまなかったのです。この点につきましてどうかご了承願います。

※本記事では、「コイカツサンシャイン」版のスタジオを使って説明しますが、「コイカツ」無印版のスタジオでも基本的には同じことが言えます。

第1章 準備:資料集めと計画

資料集めは全ての基礎

 スタジオで何かを作るために重要なのは、まず現実に存在するものをよく調べることである。

 そして、よく調べたうえでお手本にするものを1つ選ぶ。もちろん気に入ったものをお手本にするのが一番だが、鮮明な画像が複数存在し、寸法や細部などが詳細にわかるものを選ぶ方があとで作業しやすい。

 これはあくまで努力目標だが、できる限り実物を何度も観察することをお勧めする。実物の観察が困難な場合は、模型や画像でもよい。作業していて分からない部分があれば実物を観察し、観察して得た知見をスタジオに反映する。これを繰り返せばだいたいのものは作れる。
(注意点があるとすれば、実物の観察に熱心になりすぎて不審人物になってはいけない。法律や社会規範の範囲内で観察を行ってほしい)

 きわめてシンプルな話だが、SD作成全行程に関わる重要な話なので以下に整理する。

資料集めの基礎

・現実に存在するものをよく調べる

資料が豊富なもの(鮮明な画像が複数存在し、細部や寸法が詳細にわかるもの)を参考にした方がよい

実物を何度も観察する(困難な場合は模型・画像で代替可)

設計案(例)

 以上で述べたことを頭に置きつつ、どういう車両を作るか考えてみよう。ここで大仰な計画を練る必要はなく、簡単な計画でも十分に事足りる。必要に応じて「資料集め」を繰り返せばよいのだ。

 一口に鉄道車両といっても、蒸気機関車から新幹線、貨物列車まで様々な種類が存在するし、その中からどうやって1つの車両を選ぶかということを文字に起こし始めるとキリがない。そこで、今回は形状的に比較的作りやすいうえに、比較的日常生活の中で実物を観察しやすいであろう「電車」を選ぶことにする。形状的な作りやすさも実は重要である。

 電車、そのなかでも様々な車両を調べた結果、私は例として以下のような車両を作る計画を立てた。なお、寸法や規格は実在の車両をベースにしつつも若干変更を加えている。
 現実に存在するものを知ることが重要とは言ったが、それを完全に踏襲する必要はない。作成者の好みで勝手に変えてしまってよいのだ。現実を完全に再現しようとするよりも、適度に改変を加えた方が結果として見栄えが良くなる場合さえある。

・車両設計案(例)
 全長: 18m
 全幅: 2.9m
 全高: 4m
 ドア: 3ドア
 編成: 4両編成
 デザイン: 1970~1980年代に製造された通勤電車

 このように、①寸法、②作成に最低限必要な情報、③大まかなデザインの3点を決めれば基本的な案はできたことになる。今回は固有名詞を出さないが、「O電鉄のXX系風のデザイン」といったように実際に計画を立てる際には具体的に決めておくとよい
 たったこれだけなので、「電車が作りたいなあ」と言いながらスタジオを起動した後でも調べることはできる。むしろ、作りながら分からないところが出てきたときに調べるのでも全く問題ないし、「何か違うなあ」と思えば途中で変更してもよい。

 余談だが、作成に「最低限」必要な情報というのは、何をどこまで作るかによって変わってくる
 鉄道に詳しい諸氏は、先ほどの設計案に首をかしげたかもしれない。お考えの通り、本来ならば車輪の幅である「軌間」に関する情報なども必要となる。しかし、作成難易度が一気に上がってしまうため今回は車輪部分を作らない。さらに、今回は外装のみを作成する計画のため、車内の内装に関する情報も不要である。
 実は、私がかつて作った「電車」も車輪部分を黒塗りで省略したものであった。最初のころはパンタグラフも無かったので、電気で動いているかどうかさえ怪しかった。要するに「ただの箱」だったのだ。そのような代物を「電車」と称して厚顔無恥にもSDを公開していた前例がここにいるのだ。もちろんいずれ車輪を作れるに越したことはないが、作れなかったとて恥ずかしいことは何も無い。「ただの箱」であっても、撮り方や使い方次第で化ける場合がある。

第2章 寸法:スタジオでの「1m」とは?

 計画は立てた。これから自分の手で自分好みのアイテムを作るのだとスタジオを起動したところで、あなたはある疑問を持つかもしれない。

「寸法を決めたはいいが、スタジオではどうやって寸法を測ればいいのだろう」

 「コイカツ」発売以来、スタジオでの寸法について考えてきた先人たちは数え切れない。ある人は、保健室の身長計の目盛からキャラの身長を割り出そうとした。ある人は、スタジオの寸法と現実の寸法を正確に対応させるべく厳密な比率を求めようとした。ある人は、基本図形を等間隔に並べたものさしを作って目安とした。キャラクリを主とする人々も、自身が作ったキャラの身長が何cmであるかを真剣に考えてきた。寸法はそれだけ多くの人々にとっての関心事だったわけだが、考え方は人によって千差万別である。比較的多くの人が用いる基準というものはあっても、統一された基準があるわけではない。

 しかし、計画・設計通りにスタジオでアイテムを作ろうと考える時、どうしても寸法規格の問題からは逃げられなくなる。見方を変えると、寸法規格に関する確かな基準を自分なりに持ってさえいれば、どれだけ大きなものであっても適切なサイズ感で作り出すことができるのである。

 本章では、スタジオ内での寸法に関して私なりの見解を示す。なお、本記事を含め私が寸法に言及する際には、基本的にこれから説明する基準に沿って話を進める。あらかじめご了承願いたい。

便利な「def」ボタン

 スタジオを起動すると何もないまっさらな空間が広がっている。
 まずは、この空間にオリキャラ、あるいは「ちかりん」こと春野千佳を召喚しよう。キャラを横に置きながら作業をすれば、「作ったはいいが思ったより大きかった、小さかった」という悲しい事故を防ぐことができる。加えて、作業中にお気に入りのオリキャラが目に入れば何となく気力が湧くという効果もある。(効果には個人差がある)

 キャラを読み込むと、画面左下に画像のような欄が出てきたはずだ。これは「move」という項目である。アイテムの位置・角度・大きさを細かく調整する際には、原則としてこの項目に数字を入力することで作業を進める。つまり、これは非常によく使う重要な項目である。

 この項目には、アイテムを寸分たがわず正確に配置したいという人間にとって必要不可欠で、なおかつ便利なボタンが存在する。それは右のほうにある「def」ボタンである。
 まずはこの先の説明のために、キャラの「位置をリセット」したい。一番上の段の「def」ボタンを押すと、選択中のアイテムやキャラの位置が原点(0,0,0)にリセットされる。説明で私が「位置をリセット」とか「原点に戻す」とか言った場合にはこの操作を行ってほしい。
 ちなみに、上から二番目の段の「def」ボタンを押すと角度がリセットされ、一番下の段の「def」ボタンを押すと大きさがリセットされる。

 ※以下、本記事では原則としてmoveの「位置」項目を「座標」と呼称する。

寸法は「キューブ」と「座標」で測る

 結論から言うと、先ほど説明したmoveの項目で「位置(座標)」が1.0変わると1.0m、基本図形の「キューブ」の幅・奥行・高さが10cm(0.1m)である。そして、もしこの規格で作ったアイテムに違和感がある場合、現実よりやや小さく設計する必要がある。この3点をおさえておけば、サイズ感を誤りにくくなる。以下では、この寸法を用いる理由について、いくつか補足を交えながら説明する。

 なお、ここから先、細かい操作説明は省略する場合が増えてくる。可能な限り分かりやすい説明を心がけるが、「フォルダの使い方がわからない」「どうしても言っていることが分からない」などといった場合には、実際にスタジオで片っ端からボタンを押してみたり、他の投稿者様が寄稿されているスタジオノウハウ記事を読んでみたりしてほしい。

 まず、スタジオで基本図形の代表格であろう「キューブ」を出してみよう。基本図形には「通常」と「キャラ」の2種類が存在するが、今回は「キャラ」と書かれたタイプを用いる。
 「add>アイテム>基本形>キャラ」と進めば、すぐに「キューブ(キャラ)」を見つけることができるので、これをクリックすれば1つ出せる。それを所定の間隔で配置し、交互に色を変えてできたのが以下のような図である。

 キューブを並べたものが3つ並んでいる。この図を説明しながら、「キューブ1個=座標差0.1」という対応関係が間違いないことを確認していく。
 まず手前の列は、元々の大きさのままのキューブを座標「0.08」の間隔でずらしたものだ。白い部分と黒い部分の間に色がちらついたガビガビの部分がある。これは、色が異なる2つのアイテムの表面がぴったりと重なっている箇所で起こる現象である。この現象はよく覚えておいてほしい。というのも、この表示乱れは継ぎ目なく精巧にアイテムを作りたい場合に応用できる現象だからだ。
 次いで、真ん中の列にあるのは、キューブを座標「0.1」の間隔でずらして配置したものだ。手前のものと違って、干渉して色がちらついた部分がなく、隙間らしい隙間もない。
 最後に奥の列を見て欲しい。キューブを座標「0.12」の間隔でずらしたものだが、今度はキューブ同士の間に隙間が空いていることがわかる。
 この3つの列を見比べると、キューブが過不足なくぴったりと並べられるのは0.1間隔で配置した時であるということがわかる。すなわち、「キューブ1個(の一辺の長さ)=座標(の差)0.1」ということになる。これで先述の「キューブ1個=座標差0.1」という対応関係の確認が取れたといってよい。興味のある方は実際にスタジオで確かめて欲しい。

キャラの身長から「1m」を考える

 では、この「キューブ1個」「座標差0.1」とは現実の寸法で言うところの何cmなのか。

 ここでまた先ほどの図を思い出してほしい。真ん中の列の部分に、オリキャラの足元が写っていた。実は、「def」ボタンを説明する際にオリキャラを召喚した後、キューブを並べる際に邪魔になってキャラを少し上にずらした状態で撮影したのだ。
 現実の寸法との関係を考えるうえで、キャラは大きな目安になるはずだ。キャラの身長と足のサイズを測ってみよう。

 画像に写っているのは私のオリキャラである。身長はほとんど「ちかりん」と同じか若干低い程度なので、コイカツ世界における平均的な体格と言って差し支えないだろう。なお、このゲームの性質上、登場するキャラは全て18歳以上ということになっているので、「未成年なら…」という論法は用いないこととする。
 まず原点にアルファ・形状ともに薄くしたキューブ(通常)を置き、いわゆるTポーズのままキャラの足をそこに合わせる。次に、その薄いキューブをコピーし、下図のようにキャラの頭が隠れるか隠れないかの境目までY位置を上げていく。図では、分かりやすいように少しだけ頭が見える位置にしている。

 頭のてっぺんに位置を合わせた。図の左下のY位置を見ると、「1.56」とある。座標差1を1mと考えればこのキャラの身長は「1.56m」、つまり「156.0cm」ということになる。現実の人間として十分ありえる身長ではあるが、「やや低い」という印象はぬぐえない。しかし、デフォルトでキャラがやや低身長に作られている可能性もあり、これだけでは何とも言えない。
 一旦判断を保留して、次は同じ要領で足のサイズを測ってみよう。

 かかとからつま先までのZ座標の差は「0.163」と出た。先ほど立てた「座標差1=1m」という仮説をここに適用すると、このキャラの足のサイズは「0.163m」、つまり「16.3cm」ということになる。子供なら話は別だが人間の足としては「小さい」と言わざるを得ない。

 キャラの身長と足のサイズを測って分かったのは、「座標差1=1m」という基準を使えば見当を付けることはできるが厳密ではないということだ。もっとも、仮に正確なところがわかったとしても、小物を作るたびに寸法を再計算していたのでは手間がかかりすぎる(例えば、「座標の差1=1.03m」「座標の差0.97=1m」などの場合を想像して欲しい)。寸法を再計算するたびに小数点以下の端数が出てくることは想像に難くない。スタジオでは、小数点第4位以下の端数が表示されない。アイテムのコピー時に小数点第4位以下の情報が消失する場合もあるため、微調整が必要など例外的な状況を除いて0にしておくことが望ましいのだ。
 このように煩雑な計算に加え、「常に」小数点第4位以下の数値の管理が必要とあってはミスも生じやすくなる。簡単な規格が必要である。

スタジオでの寸法規格

 そこで私が採用したのが、この項目の冒頭でも簡単に説明した以下の規格である。

スタジオ寸法規格(山の民の場合)

1)位置(座標)の差 1 = 1m(100cm、1000mm)

2)基本図形キューブの拡縮 1 = 0.1m(10cm、100mm)

3)上記2点の規格で作成したアイテムに違和感がある場合、現実よりわずかに小さく設計する

 順番に説明しよう。まず大前提として、スタジオ内では「キューブ1個=座標差0.1」が事実として成り立っていることを思い出してほしい。
 1つ目「位置(座標)の差1=1m」は、キャラの身長と足のサイズを測る際に用いた仮説である。実際に計測した結果、この基準が厳密性には欠けるもののものさしとして使用可能であることは確認できた。2つ目の話にもつながってくるが、この規格を用いれば現実の寸法とスタジオ内の寸法が1:1の対応関係となり、計算が容易になることも大きなメリットである。例えば「柱を1.2m間隔で設置したい」となれば、柱同士の座標差が1.2になるようにすればよいのだ。

 2つ目「キューブの拡縮1=0.1m」は少し説明がいる。わかりやすく言いかえれば、キューブ1個=10cmということである。
 「キューブ1個=座標差0.1」という事実は、キューブを10個過不足なく並べれば座標差1(先述の基準を使えば1m)になることを示している。だが、キューブを10個並べるまでもなく、キューブの任意の「拡縮」を10にすることでも同じ結果が得られるのだ。例えば「幅100mm、奥行10mm、高さ2000mmの板が必要だ」という場合には、「X拡縮:1、Y拡縮:20、Z拡縮:0.1」のようにすればぴったりの大きさのキューブが得られる。

 ちなみに、この「拡縮1=0.1m」の関係が成り立つ基本図形は比較的多く存在する。スフィアやシリンダーはその典型例である。特殊なパターンでは、拡縮5=0.1mになる部分を持つ基本図形も存在する一方で、小数点第4位以下まで細かく数値調整しないとキリの良い寸法にならない基本図形も意外に多い。気になる基本図形があれば、キューブ(通常)と重ね合わせて寸法を一つ一つ確認して回るのも一興だ。
 ともあれ、多種多様な形と大きさを持つ基本図形を思い通りに加工するうえで、キューブと座標を軸とするこの規格を用いることは大きな助けとなってくれるであろう。少なくとも私はそう考えたからこそ、この記事を書いている。

※サイズに違和感がある場合

 3つ目の「上記2点の規格で作成したアイテムに違和感がある場合、現実よりわずかに小さく設計する」というのは、この規格を用いるうえでの注意点である。身長と足のサイズを測った際に確認したように、スタジオ内の寸法は現実とは少々異なる。あなたのオリキャラとアイテムを並べてみて、もし違和感がなければこの項目の話はそれほど気にしなくてもよい。ただ、デフォルトのキャラ「ちかりん」の体形が小さい分、それに合わせてアイテムも小さめに設計しなければ違和感が生じる場合もあるということだ。

 一例として、私が以前作った電車SDの座席幅を見てみよう。
 キャラたちが座っている様子を見て、座席について何か気付くことは無いだろうか。

 人それぞれ考えることは違うかもしれないが、座席の幅がかなり広いことにはお気づきになるはずだ。特に電車を日常的に使う人ほど実感を持ってその広さを感じることであろう。

 この拙作車両の座席幅は、画像右上の「ワークスペース」にも記載がある通り「450mm」である。対して現実の電車の座席幅は、私が調べた限り設計時期や車両にもよるが430~460mm程度のようである。この車両の座席幅450mmは標準的な寸法といえる。

 現実の車両よりも極端に座席幅が広いわけではないのにも関わらず、拙作車両の座席幅が非常にゆとりをもって作られているように「見える」のはなぜか。私のオリキャラが全体的に小柄であることも一因だが、もう一つの原因を指摘したい。
 それは「肩幅」の問題である。座席幅について調べていて分かったのは、現実の人体で最も横幅が大きい部分は「肩」であるということだ。一方コイカツでは、腰回りのパラメーターは非常に大きく変化させることができる一方で、肩幅はそれほど極端には変化しない。結果として、肩幅と腰回りの幅がほとんど同じ程度(むしろ腰回りの方が広い程度)に収まり、現実の電車よりも広く見えるのだと考えられる。
 仮にあなたがこの座席の広さに違和感を覚えた場合には、座席幅を430~440mm程度に設計しなおせばよいことになる。違和感がないならそのままでよい。意図的に現実より広々とした空間を作りたい場合も同様だ。これは個々人の好みの問題である。

 では、どのような場合にこの規格への違和感が生じるか。先ほど肩幅の関係で座席が広く見えたことからもわかるように、これにはおそらくキャラの体格が大きく影響していると考えられる。この点に関して、私の現段階での考えを以下に示す。

 「座標差 1 = 1m」という規格にあまり違和感を覚えないのは、おそらくやや高身長で比較的豊かな体形のオリキャラを配置した場合と考えられる。私が本記事を執筆するために様々な体形のキャラを座席に配置して実験した時、違和感が少なかったのはそうした豊かな体形のキャラであった。
 一方、この規格に違和感を覚えるのは「ちかりん」の身長・体形に近いややスレンダーなオリキャラを配置した場合であろう。現に、先ほど座席に配置したキャラはおおむねスレンダーなキャラである。この規格を用いる際には必要に応じて小さめに設計することで体感上の違和感を軽減できることになる。もしサイズに違和感がある場合には、若干小さめに設計するという選択肢を思い出してほしい。

 これは私の主観が入っているので余談として扱うが、若干小さめの寸法をお勧めするのにはもう一つ理由が存在する。スクショ映えの問題だ。
 アイテムや建物がキャラに対して相対的に大きくなれば、必然的にスクショで撮影した際に切り取られる範囲は狭くなる。言いかえれば、アイテムが間延びしたように見えたり、画面一つあたりの情報量が想像以上に減ったりする。せっかく作ったアイテムの映したい部分が画角に収まらないという状況の一因ともなりうる。このような悲しい事態を防ぐためにも、必要に応じてアイテムを小さく設計するという選択肢があることを覚えておいてほしい。

 いずれにせよ、アイテムの横にキャラを配置して「相談」しながら遊ぶことが肝要である。キャラを基準にすれば、アイテムを「座標差 1 = 1m」という規格よりも若干小さめに設計すべきか否かというのはアイテム毎に鮮明になってくるであろう。

おわりに

 本記事では、SDの設計の仕方とスタジオ内の寸法について説明してきた。

 第1章では、SD作成の基礎となる考え方について説明してきた。特に資料集めに関する内容、①現実に存在するものをよく調べる、②資料が豊富なものを参考にするとよい、③できる限り実物を観察する、の3点はSD作成のどの局面でも生きてくるので改めて強調したい。そして、寸法など「必要最低限の情報」を含めれば大まかなSD作成計画が出来上がることも説明した。

 第2章では、第1章で決めた寸法をスタジオに反映するために「1m」とは何かということを掘り下げながら、私が用いているスタジオでの寸法の規格について説明した。キャラの体格等によって多少前後するものの、「座標差1 = 1m」という規格がおおむねスタジオ内で成り立つことを確認してきた。この規格に対してキャラの体格などによって違和感が生じた場合のために、アイテムを現実より若干小さく設計する選択肢があることもあわせて紹介した。

 この記事を書き始めた当初は、第1章で考えた車両作成計画をもとに実際に簡単な車両を作る予定であった。しかし、第2章で寸法規格に関して議論するなかで想定よりも文字数が多くなってしまったために、スタジオでの寸法規格について私なりの見解を示すところまでで一つの記事として公開することとした。実際に車両SDを作る工程を説明する記事を投稿するかどうかは、いまのところ未定である。

 最後に、拙いうえに内容も込み入った長文をここまで読んでくださった読者様に感謝を申し上げる。本記事で説明したことが少しでも参考になり、楽しいスタジオ遊びの一助になれば幸いである。